「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」さんを訪問しました
6月11日(土)、未来ファンドおうみ2016年度助成団体である「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」さん(以下、「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」)におじゃましてきました。
「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」は、2016年度「びわ湖の日基金助成」に採択されました。採択された事業内容は、「山門水源の森に分布する中間雑種ユキバタツバキ群の調査と整備」です。
山門水源の森の学舎で、事務局の橋本さんから助成事業の概要と進捗状況をお聞きしました。
この地域は、雪国に多いユキツバキと暖かい気候を好むヤブツバキの中間種であるユキバタツバキが約9000株群生しています。このツバキは、深い雪に耐えられるように樹高は低く、しなやかな特徴をもっています。花は、1月上旬から5月まで楽しめます。花の色、形、弁数、葉の形などはさまざまで、この森での分布が一部の地域に偏っています。その要因を研究するために、2014年度から本格的な調査を開始しました。2015年度からは、全ての株にタグ付けをしました。開花時に個々の株の特性調査を肉眼観察し、加えてDNA分析をおこないます。こうして、ユキツバキとヤブツバキの関係を明らかにしようとしています。
2015年度に全区域にラミネート加工をした表示板を設置しましたが、耐久性がないことがわかってきました。そこで、未来ファンドおうみの助成金を活用し、アクリル板に吹き付けて作成した耐久性のあるタグにすることで、長期にわたる追跡調査が可能となります。
写真提供:http://www.digitalsolution.co.jp/nature/cgi/yamakado/topics/topics.cgi?page=90 2016年1月17日より
写真提供:http://www.digitalsolution.co.jp/nature/cgi/yamakado/topics/topics.cgi?page=130 2015年12月5日より
伺ったときは6月中旬ですので、ユキバタツバキの花の季節は終わっていましたが、サユリが可憐な花を咲かせていました。シカの被害から守るために、網の中で保護されています。
森の学舎前には、ビオトープが作られていて、ミツガシワやサギソウなどの植物が保護されています。アカハライモリ、小さな蝶やトンボなどを見ることができました。
樹木の枝先に白い泡巣。これはアオモリガエルの卵です。泡のなかで卵からオタマジャクシに孵り池に落ち水中生活が始まるそうです。
沢道を登って湿原へ向かいました。
森の中を歩きながら、みなさんの丁寧な活動の様子を知ることができました。
「未来ファンドおうみ」の助成金が山門の森のことにとどまらず、びわ湖を、そして京都や大阪の生活水を、さらには、次の世代の人々が自然を享受できるくらしにつながっていることを実感させていただきました。